人類学者は、日本人はインサイダー/アウトサイダーのメンタリティを持っていると表現する。つまり、人々は自分の身近なグループ以外の人々にはあまり関心を示さない傾向があり、これはNGOの発展が日本では米国と異なる理由を説明するのに使われる要因のひとつである。その他の要因としては、慈善事業に対する西洋の宗教的規定がないことや、政府の主要な役割に対する日本人の信念が挙げられる。NGOの創設に至る背景的状況は国によって異なるかもしれないが、組織のスタイルは一般的に類似している。

橋本道夫・国際環境協力センター理事長率いる研究チームによるNGOに関する報告書では、日本におけるNGOの4つのタイプが紹介されている。開発、アドボカシー、財政協力、教育である。開発NGOは、農業、難民、医療、その他人間の基本的ニーズに関する問題を扱う。アドボカシーNGOは、独自の調査や研究に基づいて政府の政策を批判する。金融協力型NGOは、実際のプロジェクトを実施する他のNGOが使用するための寄付を集めることを専門としている。教育型NGOは、環境や開発などの分野で教育プログラムを運営している。

日本野生生物研究センターの里尾太七郎理事長は、環境NGOを噛ませ犬、吠え犬、働き犬に分類している。噛ませ犬は、環境政策に関して政府や産業界に噛みつくのが得意。吠える犬は、安全な距離から吠え、警告し、大多数の中産階級にアピールする。

働く犬は基礎研究に専念する。

これらの説明は、アメリカのNGOと似て非なるものである。アメリカなどでは、NGOは非営利組織に分類される。

ジョンズ・ホプキンス大学の教授で、ジョンズ・ホプキンス政策研究所の所長であるレスター・サラモン氏は、非営利セクターの6つの特徴を挙げている。同氏によれば、非営利セクターとは、「正式に設立された組織」、「政府とは対照的な私的組織」、「非分配的組織」、「自治組織」、「自発的組織」、「公益的組織」である。これらの特徴は、ほとんどのNGOに当てはまる。

日米のNGOの機能には類似点があるが、なぜNGOが生まれたのか、どのように活動しているのかについては、日米のグループは異なっている。アメリカの多くの民間ボランティア組織を支えるユダヤ・キリスト教倫理は、人々が互いに助け合うという考えを促進する。日本人も互いに助け合うが、その対象は家族、会社、村などの輪の中に限定される傾向がある。その輪の外にいる人々は、自分たちのコミュニティに責任があると考えられている。

とはいえ、日本初の国際NGOのひとつである日本キリスト教国際医療協力会では、キリスト教志向の姿勢が一役買っていた。1987年10月に設立された日本NGO国際協力センターによると、日本キリスト教海外医療協力会とオイスカ・インターナショナルは、日本で最初に結成された国際志向のNGOのひとつである。JOCSは1960年3月、「日本が第二次世界大戦中にアジア諸国に与えた破壊と残虐行為を、キリスト教諸宗教の総力を挙げて償い、東南アジア諸国やその他の国々により良い医療サービスを提供する」ために設立された。JOCSは、発展途上国への医師、医療従事者、看護師、栄養士の派遣や、第三国からの医療従事者の日本での研修のコーディネートに力を入れている。1961年に設立され、1969年にオイスカ産業開発機構として法的に登録されたオイスカは、海外のセンターで農業や漁業の研修プログラムを実施し、海外に人材を派遣し、技術的な動きを管理している。