公益財団法人日本チェルノブイリ基金(JCF)は、白血病などの子どもたちの医療を中心とした人道支援を行っている日本の公認NPO法人である。1991年に設立され、当初はチェルノブイリ原発事故で被災したウクライナ人とベラルーシ人に医療支援を行った。2022年のロシアのウクライナ侵攻後、JCFは国際的な仲間とともにウクライナの避難民への支援を行っている。JCFはまた、2004年以来、イラクでの医療・人道支援、2011年の東日本大震災と福島第一原発事故後の日本での支援にも積極的に携わってきた。日本チェルノブイリ基金の本部は長野県松本市にある。現在の理事長は鎌田實氏。

歴史と活動

日本チェルノブイリ基金は、1986年のチェルノブイリ原発事故の被災者への医療支援を主な目的として、1991年1月に長野県松本市に日本チェルノブイリ救援基金(JCF)として設立された。発電所 同基金は、信州大学、ミンスクの国立甲状腺がんセンター、ゴメリ国立病院の医療関係者と協力し、小児白血病と甲状腺がんの検診、研究、治療の支援に特に積極的に取り組んでいる。

2004年、JCFはイラクで、主に小児腫瘍学に重点を置いた医療提供を開始した。同財団は、小児がん患者のための細胞毒性療法や、細胞分離装置の寄贈による血液バンクサービスのスポンサーとなった。同財団はまた、イラク国外の小児腫瘍学スタッフのための研修コースも提供している。キリンビールの資金援助により、JCFはイラク中央教育病院とマンスール小児福祉教育病院に化学療法用の白血球増殖因子製剤などの特別な医薬品を提供することもできた。JCFは、日本イラク医療ネットワーク(JIM-NET)との同時リンクを通じ、イラクの白血病の子どもたちの命を救う支援を続けている。

2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震と津波は、日本の東北地方沿岸部に広範な破壊をもたらし、その後福島第一原子力発電所で事故が発生した。また、信州大学医学部の協力を得て、血液中の放射線量を測定し、子どもたちの甲状腺がんや白血病の兆候を観察し、精神的な支援も行った。

2014年、イラクの治安情勢が悪化し、ISISによってモスルなどが占領されたことを受け、JCFはイラクで難民などの国内避難民(IDP)に医療を提供する新たな取り組みを開始した。マート・シュムニ・クリニックは、2014年11月からJCFがスポンサーとなり、2015年3月からは日本政府からの追加支援を受けている。当初のマルト・シュムニ・クリニックは、国内避難民の医師がスタッフを務めるテントだけだった。その後のJCFからの寄付は、適切な診療所を設立し、医薬品やその他の物資を提供するのに十分な支援を提供した。2015年から2018年にかけて、JCFはイラク北部のクルディスタン地域の首都エルビル近郊に5つのプライマリ・ヘルスケアセンター(PHC)を設立する支援を行った: ハルシャム、ゼリン、ツァイトゥン、トプザワ、アルトゥン・クプリである。日本政府の無償資金協力により、JCFはハルシャムPHC病院に医療機器を提供することができた。JCFはまた、エルビル地域の他の医療施設にも必要な医療機器を提供し、ISISの占領後、同地域の何千人もの国内避難民(IDP)に医療を提供する手助けをしてきた。さらに、JCFは近隣の他の病院にも内視鏡機器や医薬品を提供し、イラクを訪れるJCF医師による健康関連の講演会を後援している。2017年のISISからのモスル解放を記念して、JCFはエルビルのロジャバ救急病院に外科設備用の機器を提供し、2020年にはイブン・アル・アティール病院にモスル初のフローサイトメトリーユニットの設立を支援した。その他のJCFプロジェクトには、イラク人医師、特に小児腫瘍学、血液学および関連分野を専門とする医師のための日本での研修プログラム、ISISからのモスル解放後のイブン・アル・アティール病院での小児腫瘍学看護師のための研修プログラム、避難民となった少数民族ヤジディ教徒の医学生が医学研究を修了するための支援、ISISの個々の犠牲者に対する様々な形態の支援やサポートなどが含まれる。